アクセス解析をホームページの成果につなげる方法|実務で分かった3つの落とし穴

アクセス解析、実務で分かった3つの落とし穴 アクセス解析・サイト改善

アクセス数が増え、問い合わせも増えれば、ホームページ改善は成功したと判断してよいか? 残念ながら答えはNOです。

実務では、数字が良くなっているのに、契約や採用といった事業成果につながらないことがあるからです。実際に私も次のようなケースを経験しています。

  1. 問い合わせは増えたが、契約は増えず、営業の負担が大きくなった
  2. GA4には数字が出ていたが、実際の問い合わせ件数とかけ離れていた
  3. アクセス数は増えたが、問い合わせはほとんど増えなかった

一見すると別々の問題ですが、共通しているのは、表面に出ている数字だけで成果を判断している点です。

前の記事「アクセス解析とは?中小企業のホームページ改善入門」では、アクセス解析の基本と、「表示・訪問・検討・行動」の4段階で問題を見つける考え方を紹介しました。

この記事ではその続きとして、アクセス解析を行うときに注意したい3つの落とし穴を、実務で経験した事例をもとに解説します。事例は特定の会社が分からないように業種や数値などを伏せていますが、いずれも実際の支援や相談の中で経験した内容です。

落とし穴1.問い合わせが増えても契約が増えるとは限らない

あるホームページでは、改善を進めた結果、問い合わせなどホームページ上の成果が増えました。アクセス解析ツールの数字だけを見れば、施策は成功しているように見えます。

ところが、契約数はほとんど増えていなかったのです。

そこで、問い合わせ後の流れを確認しました。すると、電話での初回対応が十分に整っておらず、相談者を面談や見積もりなどの次の段階へ適切に案内できていないことが分かったのです。さらに、対面での営業成約率も低い。契約は増えていないのに、営業担当者の負担だけが大きくなっていました。

この状態でアクセス数や問い合わせ数をさらに増やしたとしても、契約増加にはつながりにくく、現場の負担だけが増える可能性があります。

優先すべきは、ホームページへの集客を増やすことではなく、電話対応や対面営業のスキルを上げることだったのです。

このような場合、問い合わせ数だけでなく、次の数字も確認する必要があります。

  • 問い合わせから商談に進んだ割合
  • 商談から見積もりに進んだ割合
  • 見積もりから契約に至った割合
  • 次の段階へ進まなかった理由

ホームページの改善が機能していても、その後の対応に問題があれば事業成果にはつながりません。問い合わせが増えたら、その後の商談や契約まで一緒に確認することが大切です。

落とし穴2.数字が表示されていても、正しいとは限らない

別のケースは、Googleアナリティクスには問い合わせなどの数値が表示されているのに、実数字が大きくかけ離れているケースです。

確認したところ、アナリティクスが正しく設定されていなかったことが原因でした。

このような状態で「問い合わせ率が低い」「特定のページが成果につながっている」と分析しても、前提となるデータが間違っているため、適切な判断はできません。

設定ミスは、数字がまったく記録されない場合だけではありません。一見するともっともらしい数字が並んでいることもあるため、発見が遅れやすい点に注意が必要です。

例えば、次のような状態が考えられます。

  • フォームを1回送信したのに、キーイベントが複数回記録される
  • 送信完了ではなく、ボタンを押した時点で成果として記録される
  • 電話や直接届いたメールの問い合わせが集計に含まれていない
  • 社内のテスト送信が実績に混ざっている

これらは一般的な確認例であり、実際の原因はサイトの設定によって異なります。大切なのは、GA4の数字だけで完結させず、フォームの受信記録や実際の問い合わせ件数と照合することです。

アクセス解析で見る数字照合する実数
フォーム送信のキーイベントフォームの受信件数
電話ボタンのクリック実際の電話問い合わせ件数
資料請求・応募完了管理画面や受信メールの件数
購入完了受注管理・販売管理の件数

電話ボタンのクリック数と実際の電話件数のように、完全には一致しない数字もあります。その場合も、それぞれが何を数えているかを理解しておけば、判断を誤りにくくなります。

まず計測を確認し、その後に分析する。この順番を入れ替えないことが、アクセス解析の基本です。

落とし穴3.アクセス数を増やすことが目的になる

アクセス数は増えたものの、問い合わせがほとんど増えなかったケースもあります。

原因は、アクセス数という表面的な数字を追い求め、顧客につながるページ設計が十分にできていなかったことでした。

ホームページ全体のアクセスが増えても、会社のサービスを必要としている人が訪れているとは限りません。また、記事を読んだ人がサービスページへ移動できなければ、問い合わせを検討する機会も生まれません。

このような場合は、アクセス数の合計ではなく、次の点を確認します。

  • どの検索語句、どのページからアクセスが増えたか
  • 増えた訪問者は顧客になり得る人か
  • 関連するサービスページへ移動しているか
  • サービスページに判断材料がそろっているか
  • 問い合わせへの導線が分かりやすいか

改善すべきなのは、アクセス数そのものではありません。顧客候補が必要なページを読み、安心して問い合わせへ進める設計です。

アクセス数を増やす施策が不要という意味ではありません。誰のアクセスを増やし、その人に次に何をしてもらうかまで設計して、初めて集客施策が成果につながります。

3つの落とし穴に共通するのは、途中の数字だけを見ていたこと

3つの事例は、それぞれ問題が起きていた場所が異なります。

  • 1つ目は、問い合わせ後の営業対応に問題があった
  • 2つ目は、分析の前提となる計測に問題があった
  • 3つ目は、訪問者を問い合わせへつなぐページ設計に問題があった

ホームページから成果が生まれるまでの流れは、次のように整理できます。

検索結果への表示 → ホームページ訪問 → 内容の検討 → 問い合わせ・応募 → 商談・面接 → 契約・採用

段階主に確認する内容確認する場所
検索結果への表示表示回数、検索語句、掲載順位Search Console
ホームページ訪問クリック数、CTR、流入数Search Console、GA4
内容の検討閲覧ページ、サービスページへの移動GA4、実際のページ
問い合わせ・応募フォーム送信、電話、メールGA4、フォーム受信記録、電話記録
商談・面接商談化数、面接数、次の段階への移行率営業記録、採用記録
契約・採用契約数、採用数、売上顧客管理、販売管理、採用記録

Search ConsoleとGA4が主に把握できるのは、「検索結果への表示」から「問い合わせ・応募」までです。その後の商談、面接、契約、採用は、営業記録や採用記録と合わせなければ確認できません。

アクセス解析を成果につなげるには、数字の高低を評価するのではなく、成果までのどの段階に問題があるかを見極める必要があります。

アクセス解析を成果につなげるための3つの前提

1.計測が正しいこと

計測が間違っていれば、その後の分析や改善策も間違った方向へ進みます。

GA4に数字が表示されていることを確認するだけでなく、実際の問い合わせや応募の記録と照合します。フォームやサイトを変更した後にも、テスト送信を行って計測を確認してください。

2.ホームページ上の成果と事業上の成果を分けること

問い合わせ、資料請求、応募などは重要な数字ですが、最終成果ではありません。

顧客獲得が目的なら契約や売上、求人が目的なら採用や入社まで確認します。途中の数字と最終成果を分けることで、本当に改善が必要な場所を判断しやすくなります。

3.数字と現場の情報を照らし合わせること

アクセス解析で分かるのは、何が起きたか、どこで行動が減ったかという事実です。数字だけで、訪問者が問い合わせなかった理由や、商談が契約に至らなかった理由まで断定することはできません。

問い合わせでよく聞かれる質問、営業担当者の話、既存顧客が依頼前に感じていた不安、実際のページ内容なども合わせて確認します。

数字と現場の情報を照らし合わせることで、単なる思いつきではなく、根拠のある改善案を考えられるようになります。

まとめ:アクセス解析では、増えた数字の先まで確認する

アクセス数や問い合わせ数が増えることは、悪いことではありません。しかし、その数字だけでホームページの改善が成功したとは判断できません。

実務で特に注意したいのは、次の3点です。

  1. 問い合わせが増えても、営業対応に問題があれば契約は増えない
  2. 数字が表示されていても、計測が正しいとは限らない
  3. アクセス数を増やしても、顧客につながるページ設計がなければ成果は増えにくい

まず、ホームページ上の数字と、問い合わせ、商談、契約などの実数を並べてください。そのうえで、成果までのどの段階で止まっているかを確認します。

アクセス解析の目的は、数字を良く見せることではありません。限られた予算と時間を、今どこに使うべきかを決めることです。

数字から具体的な改善策を決める流れについては、関連記事「アクセス解析の数字からホームページの改善策を決める5つの手順」で解説します。毎月の確認を習慣化したい方は、「月30分でできるアクセス解析|中小企業のホームページ改善チェックリスト」もご覧ください。

著者情報

皆川顕弘(みながわ たかひろ)

株式会社ラディカルサポート代表取締役。2005年にホームページ制作者として独立し、中小企業のホームページ制作、アクセス解析、Web集客、運用改善を支援。著書に『Googleアナリティクス アクセス解析完全ガイド』(2014年)、『スモールビジネスのための Googleアナリティクス完全ガイド』(2018年)などがある。

参考資料

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