この記事では、GA4の細かな操作方法ではなく、アクセス解析の基本的な考え方と、中小企業のホームページで確認したいポイントを解説します。
「Googleアナリティクスを入れているものの、毎月アクセス数を確認するだけになっている」
「問い合わせや応募が増えないが、ホームページのどこを直せばよいのか分からない」
中小企業の経営者やホームページ担当者から、このような相談を受けることがあります。そこで必要となるのがアクセス解析です。
アクセス解析とは、訪問者数を確認するだけの作業ではありません。ホームページの数字から、成果につながるまでのどこに問題があるのかを絞り込み、次に何を改善するかを決めるための取り組みです。
私は2014年に『Googleアナリティクス アクセス解析完全ガイド』、2018年に『スモールビジネスのための Googleアナリティクス完全ガイド』を執筆しました。だいぶ時間が経過したこともあり、管理画面や計測方法は変わりました。とはいえ「数字は見ているものの、改善にどう使えばよいか分からない」という中小企業の課題は現在も変わりません。
アクセス解析とは?アクセス数を数えることではありません
アクセス解析は、Googleアナリティクスなどの管理画面を開くこと自体を指すものではありません。データを使って、次のような問いに答えていく作業です。
- 見込み客が検索したとき、自社のページは表示されているか
- 検索結果に表示された中から、クリックされているか
- 訪問者はサービスや求人の内容を十分に確認しているか
- 問い合わせ、電話、応募などの行動につながっているか
アクセス数の確認とアクセス解析の違いを整理すると、次のようになります。
| 比較項目 | アクセス数の確認 | アクセス解析 |
|---|---|---|
| 目的 | 現状を把握する | 問題を見つけて改善を決める |
| 主な問い | 何人が見たか | 成果までのどこで止まっているか |
| 見る数字 | サイト全体の訪問数など | 流入元、検索語句、閲覧ページ、行動など |
| 確認後にすること | 数字を記録する | 優先する改善策を決める |
大切なのは、数字が増えたか減ったかだけではなく、その変化がホームページの目的にどう関係しているかを考えることです。
GA4とGoogle Search Consoleで分かること
ホームページのアクセス解析では、主にGoogleアナリティクス4(GA4)とGoogle Search Consoleを使用します。
Search Consoleで確認できるのは、主にGoogle検索での見え方です。検索結果での「表示回数(インプレッション数)」「クリック数」「CTR(クリック率)」「平均掲載順位」「検索クエリ」などを確認できます。CTRは、クリック数を表示回数で割った割合です。
一方、GA4で確認できるのは、ホームページを訪問した後の「ページ閲覧」「ボタンのクリック」「フォーム送信」などのユーザー行動です。そのうち、問い合わせや購入など、事業にとって特に重要な行動は「キーイベント」として設定できます。

Search Consoleは「検索結果で見つけられ、選ばれたか」、GA4は「訪問後に何を見て、どのような行動をしたか」を確認するものと考えると、役割を整理しやすくなります。
ただし、数字から直接分かるのは、何が起きたかという事実までです。例えば、「問い合わせボタンがクリックされていないことは分かっても、クリックしなかった理由までは断定できない」ということです。理由を考えるには、実際のページ内容、顧客からよく受ける質問、問い合わせ内容なども合わせて確認する必要があるため、経験値やユーザーがどう思ったかなどの想像力が必要だったりします。
中小企業にアクセス解析が必要な理由
中小企業では、ホームページに使える予算も人員も限られています。だからこそ、感覚だけで全面リニューアルや広告出稿を決めるのではなく、改善の優先順位をつける必要があります。そこで役立つのがアクセス解析なのです。
問い合わせが少ないとき、原因が必ずしもアクセス不足とは限りません。検索結果にほとんど表示されていない場合もあれば、ホームページは見られているものの、サービスの内容や依頼する理由が伝わっていない場合もあります。
原因によって必要な施策は変わります。顧客が検索するテーマに対応したページを増やすべき場合もあれば、既存のサービスページや問い合わせフォームを直す方が先の場合もあります。
アクセス解析の役割は、すべての数字を細かく調べることではありません。限られた予算と時間を、成果に近い改善へ配分するための判断材料を得ることです。
アクセスが少ないホームページでも意味はある
月間のアクセス数が少ない中小企業のホームページでも、アクセス解析が無意味になるわけではありません。ただし、母数が少ない状態で、前月比の数%の変化を過大に評価するのは危険です。
1か月だけで結論を出さず、3か月、6か月、前年同月など、ある程度長い期間で傾向を確認しましょう。また、数字が少ない場合ほど、実際の問い合わせ内容や営業担当者の感触と組み合わせて判断することが重要となります。
最初にホームページの目的と成果を決める
アクセス解析を始める前に大切なことがあります。それはホームページの目的を明確にすることです。目的が決まっていなければ、どの数字を良くすべきかも決められないからです。
| ホームページの目的 | ホームページ上の主な行動 | 事業上の最終成果 |
|---|---|---|
| BtoBの新規顧客獲得 | 問い合わせ、電話、資料請求 | 有効商談、見積提出、契約 |
| 採用 | 求人ページ閲覧、応募、説明会申込 | 面接、内定、採用 |
| 店舗集客 | 電話、予約、地図表示、LINE登録 | 予約、来店、再来店 |
| 商品・サービス販売 | 商品閲覧、カート、購入 | 売上、利益、継続購入 |
ここで注意したいのは、ホームページ上の問い合わせや応募が、会社にとっての最終成果とは限らないことです。
BtoB企業なら、問い合わせが増えても契約が増えなければ、事業成果が十分に改善したとはいえません。採用サイトなら、応募数だけでなく、求める人材からの応募だったか、面接や採用につながったかまで確認する必要があります。
そのため、成果までの流れを次のように分けて考えます。
検索結果への表示 → ホームページ訪問 → 内容の検討 → 問い合わせ・応募 → 商談・面接 → 契約・採用

GA4だけですべてを判断しようとせず、問い合わせ台帳、営業管理表、採用管理表など(こちらはエクセルやスプレッドシートなどで管理)も必要に応じて照合します。
「表示・訪問・検討・行動」の4段階で問題を見つける
ホームページ内のどこに問題があるか分からない場合は、成果までの流れを「表示・訪問・検討・行動」の4段階に分けます。
| 段階 | 確認すること | 主な指標 | 問題がある場合に考えること |
|---|---|---|---|
| 1. 表示 | 検索結果に出ているか | 表示回数、検索クエリ、平均掲載順位 | ページ不足、検索需要とのずれ |
| 2. 訪問 | 表示後に選ばれているか | クリック数、CTR、流入数 | タイトルや説明、検索意図とのずれ |
| 3. 検討 | 必要な情報を確認しているか | 閲覧ページ、ページ遷移、ボタンクリック | 情報不足、導線不良、分かりにくさ |
| 4. 行動 | 問い合わせや応募に進んだか | フォーム送信、電話、LINE、キーイベント | 不安の未解消、決め手不足、入力の負担 |
1.表示:検索結果に出ているか
最初に、見込み客が検索したときに自社のページが表示されているかを確認します。
Search Consoleで表示回数と検索クエリを見ます。表示回数が少ない場合は、顧客が調べているテーマに対応するページが不足している、ページの内容が検索意図と合っていない、といった可能性があります。
平均掲載順位だけでなく、「顧客になりそうな人が使う検索語句で表示されているか」という質も確認します。
2.訪問:検索結果から選ばれているか
表示回数が増えても、クリックされなければ訪問は増えません。
表示されているのにCTRが低い場合は、ページタイトルや検索結果上の説明が検索者の疑問に合っているかを確認します。ただし、CTRは掲載順位や検索クエリによっても変わるため、サイト全体の平均値だけで判断しないようにしてください。
3.検討:必要な情報まで読まれているか
ホームページへの訪問があっても、サービスの特徴、料金、事例、対応範囲、求人条件など、判断に必要な情報が見つからなければ問い合わせや応募にはつながりにくくなります。
入口ページだけを見るのではなく、その後どのページへ進んだか、サービスページや事例ページ、採用情報などの重要ページが見られているかを確認します。
4.行動:問い合わせや応募に進んだか
必要なページが読まれているのに行動されていない場合は、問い合わせ前の不安が残っている可能性があります。
- 料金や対応範囲が分からない
- 実績や事例が不足している
- どのような会社や担当者が対応するか分からない
- 問い合わせ後の流れが分からない
- フォームの入力項目が多い
- スマートフォンで操作しにくい
データと実際のページを照らし合わせ、説明の追加、事例の掲載、ボタンの配置、フォーム項目の見直しなどを検討します。
アクセス解析でよくある3つの勘違い
アクセス数が増えれば成果も増える
アクセス数が増えても、顧客候補とは関係の薄いページだけが見られていれば、問い合わせにはつながりません。増えたのがどのページの訪問か、サービスページへ進んでいるかまで確認します。
数字を見れば原因まで分かる
アクセス解析で分かるのは、どこで行動が減ったかという事実です。数字だけで訪問者の心理まで断定することはできません。ページ内容や顧客の声から仮説を立て、変更後の結果を見ながら確かめます。
数字は高いほどよい
滞在時間が長い、ページ閲覧数が多いといった数字も、目的によって意味が変わります。必要な情報が見つからずサイト内を探し回っている可能性もあるため、1つの指標だけで良し悪しを決めないことが大切です。
まずは「どの段階で止まっているか」を確認する
アクセス解析を始めるときに、すべてのレポートを理解する必要はありません。まずは次の3点を整理してみてください。
- ホームページの目的と最終成果を一つ決める
- 成果に関係するサービスページや求人ページを一つ選ぶ
- 「表示・訪問・検討・行動」のどこで止まっているかを確認する
例えば、検索結果への表示自体が少なければ、ボタンの色を変えても大きな効果は期待しにくいでしょう。反対に、すでに顧客候補がサービスページを読んでいるなら、集客を増やす前に、内容や問い合わせ導線を見直す方が成果に近い可能性があります。
このように、アクセス解析は数字を評価するためではなく、改善の順番を決めるために行います。
まとめ:アクセス解析は、次の改善を決めるために行う
アクセス解析とは、アクセス数を眺めることではありません。ホームページが成果につながるまでのどこで止まっているかを数字から絞り込み、次に実行する改善策を決めることです。
中小企業が最初に押さえたいポイントは、次の3つです。
- ホームページの目的と、事業上の最終成果を決める
- Search ConsoleとGA4の役割を分けて考える
- 「表示・訪問・検討・行動」の4段階で問題を探す
アクセス数が少ないからといって、すぐに広告や全面リニューアルが必要とは限りません。まずは目的を一つ決め、成果までのどこで止まっているかを確認してみてください。
数字はホームページの成績表ではなく、限られた予算と時間の中で、次の一手を選ぶための材料です。
数字から改善策を決める具体的な手順と、実務で経験した3つの落とし穴については、関連記事「アクセス解析をホームページの成果につなげる方法|実務で分かった3つの落とし穴」で解説します。
著者情報
皆川顕弘(みながわ たかひろ)
株式会社ラディカルサポート代表取締役。2005年にホームページ制作者として独立し、中小企業のホームページ制作、アクセス解析、Web集客、運用改善を支援。著書に『Googleアナリティクス アクセス解析完全ガイド』(2014年)、『スモールビジネスのための Googleアナリティクス完全ガイド』(2018年)などがある。


