アクセス解析を改善につなげる方法|数字から改善策を決める5つの手順

アクセス解析・サイト改善

Google アナリティクス 4(GA4)やGoogle Search Consoleを開けば、アクセス数、検索語句、閲覧ページ、問い合わせ数などを確認できます。当然ながら、数字を確認しただけではホームページが改善されることはありません。大切なのは、次に何を変えるのかを決めることです。

アクセス解析を改善につなげるには、数字から問題のありそうな場所を絞り、ページや顧客対応の実態と照らし合わせて仮説を立て、優先順位を決めて実行する必要があります。

この記事では、中小企業のホームページを想定し、数字から改善策を決めるまでの流れを5つの手順に整理します。高度な分析方法を覚えることより、限られたデータから次の一手を決められるようになることが目的です。

アクセス解析の基本や、GA4とSearch Consoleで確認できる内容から知りたい方は、先に「アクセス解析とは?中小企業のホームページ改善入門」をご覧ください。

アクセス解析の役割は「答えを出すこと」ではなく「問題を絞ること」

Googleアナリティクスやアクセス解析レポートの数字を見ても、訪問者が問い合わせなかった理由まで正確に分かるわけではありません。

たとえば、サービスページから問い合わせフォームへ進む人が少なかった場合、料金、実績、サービス内容、ボタンの位置など複数の原因が考えられます。データで分かるのは「ページは見られているが、その先の行動が少ない」という事実のみです。実際のページや顧客からの質問も確認して、改善の仮説を立てる必要があります。

実務では、次の順番で考えると改善策を決めやすくなります。

事業の目的を決める → 問題が起きている段階を探す → 対象ページを絞る → 原因の仮説を立てる → 改善して確かめる

アクセス解析は、この流れのうち「どこを詳しく調べるべきか」を教えてくれるものです。

改善のステップを順に解説していきます。

手順1:ホームページで増やしたい成果を一つ決める

最初に決めるのは、見る指標ではなく、ホームページを通じて増やしたい成果です。

「アクセス数を増やす」だけでは、事業の成果に結びついているか判断できません。新規顧客の獲得が目的なら契約、採用が目的なら採用決定までを見据え、その手前にあるホームページ上の行動を設定します。

ホームページの目的サイト内で確認する行動最終的に確認する成果
新規顧客を増やすフォーム送信、電話、メール有効な問い合わせ、商談、契約
見積もり依頼を増やす見積もりフォーム送信見積もり提出、受注
採用応募を増やす応募フォーム送信、電話面接、採用
来店・予約を増やす予約、電話、地図表示来店、売上

ここで大切なのは、GA4で確認できる成果と、社内でしか確認できない成果を分けることです。

問い合わせフォームの送信は、GA4で「キーイベント」として計測する設定ができます。一方、問い合わせ後に商談へ進んだか、契約に至ったかは、営業記録や顧客管理の情報を見なければ分かりません。

以前の支援では、ホームページ上のコンバージョン数が増えていても、電話対応や対面営業が次の課題となり、契約数が増えなかったことがありました。こうした場合、ホームページをさらに変更するより、問い合わせ後の対応を改善する方が優先です。

まずは「今月は新規顧客の問い合わせを改善する」のように、優先する目的を一つに絞りましょう。

手順2:成果までのどの段階で数字が減っているか確認する

目的を決めたら、検索結果への表示から契約・採用までを段階に分け、どこで数字が減っているかを確認します。

段階主に確認する内容確認する場所
検索結果への表示表示回数、検索語句、掲載順位Search Console
ホームページ訪問クリック数、CTR、流入数Search Console、GA4
内容の検討ランディングページ、閲覧ページ、サービスページへの移動GA4、実際のページ
問い合わせ・応募フォーム送信、電話、メールGA4、フォーム受信記録、電話記録
商談・面接商談化数、面接数、次の段階への移行率営業記録、採用記録
契約・採用契約数、採用数、売上顧客管理、販売管理、採用記録

表示回数が少ないなら、検索ニーズに合うページが不足している可能性があります。表示されてもクリックが少ないなら検索語句とタイトルを確認します。訪問が増えても問い合わせが増えない場合は、流入をさらに増やす前に、入口ページからサービス説明や問い合わせへ進んでいるかを見ます。

ここで全体の平均値だけを見ると、問題を見落とすことがあります。会社名で検索した人と、サービスを比較している人では行動が違うからです。検索語句、入口ページ、流入元などを分け、成果につながる可能性がある訪問を中心に見ます。

ただし、細かく分けすぎて数件単位になると、偶然の変動に左右されます。アクセスが少ない中小企業のホームページでは、必要に応じて1か月ではなく3か月程度に期間を広げる方が実態を捉えやすくなります。

手順3:改善対象を「サイト全体」ではなくページ単位まで絞る

問題がありそうな段階を見つけたら、改善するページを絞ります。

「直帰率が高いからサイト全体をリニューアルする」といった大きな判断を、最初からする必要はありません。まずは、訪問者が最初に見たページと、問い合わせを判断するうえで重要なページを確認します。

GA4のランディングページレポートでは、訪問者が最初にアクセスしたページを確認できます。Googleの公式説明でも、ランディングページは「ウェブサイトを訪れるユーザーが最初に目にするページ」とされています。

優先して確認したいのは、次のようなページです。

  • 検索や広告からの流入が多いページ
  • サービスや商品の詳しい説明ページ
  • 料金、実績、よくある質問など、比較検討に使われるページ
  • 問い合わせ・応募フォーム
  • アクセスは多いのに、次のページへ進む人が少ないページ

ページを確認するときは、パソコンだけでなくスマートフォンでも見ます。ボタンが画面の下に埋もれていないか、文章が長すぎないか、フォームが入力しにくくないかは、数字だけでは判断できません。

また、アクセスが多いページを必ず最優先で改善するわけではありません。ブログ記事の閲覧が多くても、対象顧客と関係の薄い検索から来ているなら、改善しても問い合わせへの影響は限定的です。アクセス数の大きさより、事業の成果までの距離で優先順位を決めます。

手順4:数字と実際の情報を組み合わせて仮説を立てる

改善対象を決めたら、「なぜその数字になっているのか」という仮説を立てます。

このとき、数字だけを見て原因を断定しないことが大切です。次の3点に分けると、推測と事実が混ざりにくくなります。

  1. 確認できた事実:どの数字が、どのページで、どう変化しているか
  2. 考えられる原因:訪問者が次へ進まない理由は何か
  3. 確かめる方法:ページ、顧客の質問、営業記録などの何を確認するか

たとえば、次のように考えます。

確認できた事実考えられる原因追加で確認すること
表示回数は多いがCTRが低い検索語句とタイトルが合っていない検索語句、競合ページ、タイトルと説明文
サービスページは見られているが問い合わせが少ない判断材料が不足している料金、実績、対応範囲、流れ、よくある質問
フォームへの移動はあるが送信が少ない入力項目が多い、エラーが分かりにくいスマートフォンでの入力、必須項目、エラー表示
問い合わせは増えたが契約が増えない対象外の問い合わせが多い、対応に課題がある問い合わせ内容、電話対応、商談化率、成約率

実務で役立つのは、問い合わせ時に繰り返し聞かれる質問です。「料金の目安は分かりますか」「どこまで対応してもらえますか」と何度も聞かれるなら、同じ疑問を持ったまま問い合わせずに離れている人もいると考えられます。

これは解析データから直接分かる事実ではなく仮説です。ただし、ページ上に説明がないことと、顧客から同じ質問が出ていることが重なれば、改善候補としての根拠は強くなります。

手順5:優先順位を決め、一度に一つの改善を実施する

仮説が複数出たら、次の3点で優先順位を決めます。

  • 成果への影響:改善した場合、問い合わせや契約にどの程度近づくか
  • 根拠の強さ:数字、ページの状態、顧客の声が一致しているか
  • 実施のしやすさ:費用や作業時間をかけずに試せるか

たとえば、重要なサービスページに問い合わせボタンが見当たらない、スマートフォンでフォームの送信ができないといった問題は、影響が大きく、根拠も明確です。先に修正します。

改善するときは、できるだけ一度に一つの主要な変更を行います。タイトル、ページ構成、料金、問い合わせボタン、フォームを同時に変えると、結果が良くても何が効いたのか判断できません。

変更前に、少なくとも次の内容を記録しておきます。

  • 変更するページ
  • 問題と判断した数字
  • 原因の仮説
  • 実施する変更
  • 結果を判断する指標
  • 比較する期間

Search Consoleには期間を比較する機能があります。曜日による差を小さくするため、同じ日数・同じ曜日構成で比べるか、週・月単位で確認します。繁忙期や広告出稿など条件が変わった場合は、その影響も記録しておきます。

アクセスが少ないサイトでは、変更後すぐに結論を出さない方が安全です。問い合わせが月に数件の場合、1件増減するだけで率が大きく変わります。割合だけでなく実数を確認し、必要に応じて数か月分をまとめて判断します。

数字の状態から考えられる主な改善策

数字の状態まず確認すること改善策の例
検索結果への表示が少ない検索ニーズに合うページがあるかサービスページや解説記事の追加、内容の見直し
表示は多いがクリックが少ない検索語句とタイトルが合っているかタイトル、説明文、ページの主題を調整
訪問はあるが重要ページへ進まない次に見るべき情報が分かるか導線、リンク文、ページ構成を改善
サービスページは見られるが問い合わせが少ない判断材料と安心材料が揃っているか料金、実績、対応範囲、流れ、FAQを追加
フォーム送信が少ない入力しにくい箇所がないか項目削減、エラー表示、スマートフォン対応を改善
問い合わせは増えたが契約が少ない問い合わせの質と対応状況対象顧客の明確化、電話・営業対応の改善

この表は原因を断定するものではありません。改善候補を出す入口として使います。

アクセスが少ないホームページは、無理にA/Bテストをしなくてよい

訪問数や問い合わせ数が少ないホームページでは、短期間のA/Bテストで信頼できる差を判断しにくいことがあります。その場合は、無理に高度な分析をするより、次のような根拠を重ねます。

  • 3か月、6か月など期間を広げて傾向を見る
  • Search Consoleの検索語句とページ内容が合っているか確認する
  • スマートフォンで実際に問い合わせまで操作する
  • 問い合わせ内容や営業担当者への質問を整理する
  • 料金や対応範囲など、明らかに不足している情報を補う

小さな変化を大きな成果のように扱わず、数字と現場の情報を合わせて判断します。

改善履歴を残すと、次の判断が速くなる

改善を継続するなら、簡単な記録を残しておきます。専用ツールを導入しなくても、スプレッドシートで十分です。

記録項目記入例
実施日2026年○月○日
対象ページ○○サービスページ
確認した事実訪問はあるがフォームへの移動が少ない
仮説料金と依頼の流れが分からず判断できない
変更内容料金目安、依頼の流れ、問い合わせボタンを追加
確認する指標フォームへの移動数、問い合わせ数
比較期間変更前後各8週間
結果と次の対応数字を記録し、継続・修正・取りやめを判断

記録がないと、数か月後に「なぜ変更したのか」「以前より良くなったのか」が分からなくなります。結果が出なかった改善も、仮説が違ったと判断するための材料になります。

自社で改善策を決めにくいときに整理しておきたいこと

制作会社や運用会社へ相談する場合は、次の情報を整理すると改善箇所を絞りやすくなります。

  • ホームページで増やしたい成果
  • 問い合わせ・応募・契約の実数
  • 特に売りたいサービス、採用したい職種
  • 顧客からよく聞かれる質問
  • 問い合わせ後の商談化率や成約率
  • 過去に変更した内容と結果

アクセス解析を依頼する場合は、きれいなレポートが納品されるかではなく、「どの数字から何を判断し、どの改善を優先するのか」まで説明してもらえるかを確認してください。

まとめ:数字を見る目的は、次の行動を一つ決めること

アクセス解析をホームページ改善につなげる手順は、次の5つです。

  1. ホームページで増やしたい成果を一つ決める
  2. 成果までのどの段階で数字が減っているか確認する
  3. 改善対象をページ単位まで絞る
  4. 数字と実際の情報を組み合わせて仮説を立てる
  5. 優先順位を決め、一度に一つの改善を実施する

毎月すべての数字を詳しく分析する必要はありません。見る数字を増やすより、確認した事実から改善を一つ決め、実施後の結果を残すことが大切です。

次の記事では、GA4とSearch Consoleのどの項目を確認すればよいかを、「月30分から始めるホームページ改善の確認方法」として具体的に解説します。

著者情報

皆川顕弘(みながわ たかひろ)

株式会社ラディカルサポート代表取締役。2005年にホームページ制作者として独立し、中小企業のホームページ制作、アクセス解析、Web集客、運用改善を支援。著書に『Googleアナリティクス アクセス解析完全ガイド』(2014年)、『スモールビジネスのための Googleアナリティクス完全ガイド』(2018年)などがある。

参考資料

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