アクセス解析を制作会社に依頼すると何をしてもらえる?費用・支援範囲・選び方
「アクセス数は見ているけれど、何を改善すればよいのか分からない」「制作会社に相談したいが、どこまで頼めるのか分からない」。そんな悩みはありませんか。
アクセス解析を外注するときは、数字をまとめてもらうことと、その数字をもとに改善を進めることを分けて考えると、必要な支援が見えてきます。
レポートを受け取るだけで十分な場合もあれば、計測の設定、課題の整理、サイトの改修、変更後の確認まで必要な場合もあります。依頼先を選ぶ前に、自社がどこで困っているのかを整理しておきましょう。
この記事では、アクセス解析を制作会社に依頼する際の支援範囲、費用の比較方法、依頼先の選び方を説明します。
1. アクセス解析の依頼は「数字の報告」だけとは限りません
アクセス解析というと、「どのページがどれくらい見られているか」「検索や広告など、どこから訪問しているか」を調べるもの、というイメージがあるかもしれません。
これらは現状を知る入口です。ただし、問い合わせや購入を増やしたいのであれば、閲覧数や流入元を知るだけでは、次に何をするか決められないこともあります。
依頼時に確認したい支援範囲は、主に次の4つです。
| 支援範囲 | 確認したい内容 |
|---|---|
| 計測状況の確認・整備 | 必要なデータが取れているか。問い合わせや購入を計測できているか |
| 現状分析とレポート | ページの閲覧状況、流入元、成果につながる行動などを整理してもらえるか |
| 課題整理と改善提案 | 数字から考えられる課題と、次に取り組むことを提案してもらえるか |
| 改善後の確認 | 変更後の数値を確認し、続ける・見直すといった判断を支援してもらえるか |
すべての制作会社が、これらに対応しているわけではありません。「アクセス解析代行」という名称でも、定期的なレポート提出が中心なのか、改善提案まで含むのかを確認する必要があります。
また、分析と提案を依頼できても、サイトを修正する作業は別契約かもしれません。サービス名ではなく、具体的な作業範囲を確認してください。実際の対応範囲は、依頼先ごとに異なる可能性がありますので、それぞれご確認することをおすすめします。
そもそもアクセス解析で何が分かるのかを整理したい方は、アクセス解析の基礎とホームページ改善への活かし方から確認すると、依頼したい内容を考えやすくなります。
2. レポート提出と改善支援の違いは「次の行動まで決められるか」
レポートは、サイトの状況を共有するための材料です。社内で数字を確認し、改善を判断できる体制があるなら、集計や報告を外注するだけでも役立ちます。
一方、数字を見ても「それで、何をすればよいのか」が分からない場合は、課題整理や改善提案まで必要でしょう。

例えば、あるページの閲覧数が多いと分かっても、それだけでは問い合わせに役立っているかを判断できません。必要な情報が伝わっているのか、次のページへ進んでいるのか、問い合わせまでの流れに問題がないかを確認する必要があります。
改善支援では、次の点まで整理できるかを見てください。
- どこが課題と考えられるか
- その見立てを支えるデータは何か
- まだ分からないことは何か
- 次に何を確認し、何から変えるか
- 変更後、どの数字で良し悪しを判断するか
ここで探したいのが「ボトルネック」です。成果につながるまでの流れで、進みづらくなっている箇所を指します。
注目している場所と、改善すべき場所は違うことがあります
私の経験では、ECサイトで販売点数を増やしたいときに、商品の訴求の仕方を変えず、カートを改善した後に購入率の改善が見られたことがあります。
この経験から、商品をどう魅力的に伝えるかだけでなく、購入に進む過程にも目を向ける必要があると考えています。どのサイトでもカートを直せばよい、という意味ではありません。成果につながる流れ全体を確認することが重要です。
また、改善したつもりの変更後に数値が悪化し、元に戻した後に数値も戻った経験があります。
ただし、この前後関係だけで、変更が悪化の原因だったと断定はできません。訪問者の構成や時期など、ほかの条件が変わっていないかも確認が必要です。それでも、実施後に数値を確認していなければ、見直しを検討するきっかけ自体を得られません。
レポートの見栄えや項目数だけでなく、改善を判断し、実行し、その後を確かめるところまでつながるかを見てください。
提案を受けた後の進め方も把握しておきたい方は、数字から改善策を決める5つの手順を参考にしてください。依頼先と、どの段階を自社で担当するか話し合う際にも役立ちます。
3. 必要な支援は「計測できているか」「アクセスと成果のどちらが課題か」で変わります
何から手を付ければよいか分からないとき、私はまず現状を数値で確認し、ボトルネックを探すことを勧めます。必要なデータが取れていなければ、分析より先に、計測を確認するところからです。

必要な成果を計測できているか
アクセス解析では、問い合わせや購入など、サイトで目指す行動を「コンバージョン」と呼びます。
訪問者数は分かっていても、問い合わせの完了を計測できていなければ、どの流入元やページが成果につながっているかを判断しにくくなります。
まずは「何を成果として扱うか」を決め、その行動を計測できているか相談しましょう。必要なデータを取っていなかった場合、過去の状況を十分に検証できない可能性があります。これからデータを集める期間が必要かどうかも確認してください。
アクセスが少ない場合
そもそも訪問が少なければ、サイト内だけを改善しても、成果の変化を判断する材料が不足することがあります。
この場合は、検索や広告などからどのくらい訪問があるか、届けたい相手にサイトを見てもらえているかを確認します。単純にアクセス数を増やすのではなく、問い合わせや購入につながる可能性のある訪問を増やす視点が必要です。
アクセスはあるのに成果につながらない場合
こちらは、訪問後の流れを確認する必要があります。
例えば、サービス内容や依頼条件が分かるか、問い合わせ先を見つけられるか、入力や購入の途中で進みづらい点がないか、といった確認が考えられます。これらは原因の候補であり、数字だけで断定できるものではありません。実際のページや操作も合わせて見ていきます。
特に注意したいのは、成果につながりにくい理由を確認せず、多額の広告費をかけることです。広告によって訪問が増えれば成果が増える可能性はありますが、サイト内の課題が残っていれば、費用に見合わない結果になるおそれもあります。
広告自体を避けるのではなく、集客とサイト内の改善のどちらを先に、あるいは並行して進めるべきかを判断しましょう。
問い合わせ不足が主な悩みなら、相談前に問い合わせが来ない原因を切り分けるための確認ポイントを整理しておくと、自社の困りごとを伝えやすくなります。
AIに分析を頼む場合も、前提の確認は必要です
AIを使って数字を整理したり、改善案の候補を出したりする方法もあります。ただし、サイトの目的、計測の状態、必要なデータなどが不足していれば、的外れな提案になる可能性があります。
AIがもっともらしい説明をしていても、それが実際の原因だとは限りません。どのデータを根拠にしているか、事業の状況と合っているかを人が確認する必要があります。
4. 費用は「金額」と「どこまで含まれるか」をセットで比較します
アクセス解析の費用は、総額だけでなく、何に対する費用なのかを分けて確認しましょう。
具体的な料金や契約条件は依頼先ごとに要確認です。ここでは、見積もりを比較するための項目を整理します。
| 費用の区分 | 見積もりで確認したいこと |
|---|---|
| 初期の計測確認・設定 | 現在の設定確認だけか、必要な設定の追加や修正も含むか |
| 定期的な集計・レポート | 対象サイト、集計する内容、提出頻度はどうなっているか |
| 課題整理・改善提案・打ち合わせ | 提案や説明の機会が含まれるか。打ち合わせの頻度はどの程度か |
| サイト改修 | 提案後の修正作業を含むか。別見積もりになるか |
| 改善後の確認 | 変更後の分析や、追加の見直し提案まで含むか |
このほか、次の条件もそろえて比較してください。
- 単発の依頼か、月額の継続契約か
- 表示金額は税込か、税別か
- 対象となるサイトやページの範囲
- 最低契約期間や解約条件
- 広告費、広告運用費、改修費が含まれるか
- 追加費用が発生する作業と、その承認方法
例えば、レポートのみの見積もりと、打ち合わせ・改善提案・改修を含む見積もりは、そのまま金額だけで比較できません。
反対に、自社で改善を判断して改修もできるなら、幅広い支援を契約する必要がないこともあります。安いか高いかを決める前に、自社に必要な作業をそろえて比較するのがお勧めです。
5. 制作会社を選ぶときに確認したい6つのこと
依頼前の打ち合わせでは、次の6項目を確認すると、支援の内容と進め方を把握しやすくなります。
① 計測状況の確認から対応するか
「今ある数字を分析するだけなのか」「必要なデータが取れているかも確認するのか」を聞きましょう。計測に不安があるなら、設定の確認や修正が対応範囲に含まれるかが重要です。
② レポートに課題の見立てや改善提案が含まれるか
集計だけを依頼したいのか、次の行動も相談したいのかを伝えます。改善判断に困っているなら、数値の報告に加え、何を確認・変更するかまで扱う支援かを確認してください。
③ 提案の理由と優先順位を説明してもらえるか
改善案が多くても、すべてを実行できるとは限りません。「なぜこの案なのか」「予算や人員が限られるなら、何から始めるか」を説明してもらえるかが判断材料になります。
④ 改修は誰が担当し、費用はどうなるか
提案を受けても、実行する担当者がいなければ止まってしまいます。依頼先、自社、別の制作会社の誰が改修するかを決め、必要な費用や調整も確認しましょう。
⑤ 改善後に何を確認するか
変更前に、目指す成果と確認する数字を共有できるかを聞きます。数値が良くならなかった場合も含め、変更後の確認と見直しを誰が担当するか明確にしておきましょう。
⑥ 打ち合わせの頻度や契約条件はどうなっているか
レポートだけで理解できない場合、説明を受ける機会があるかは重要です。質問への対応方法、打ち合わせ頻度、契約期間、追加作業の扱いなどは要確認です。
この6項目に加え、「数字から分かること」と「まだ分からないこと」を分けて説明できるかも見てください。数字の変化だけで原因を決めつけず、追加で確認すべき点を示してくれるかが、判断の進め方を知る手がかりになります。
6. 自社で整理することと、外部に相談することを分けましょう
アクセス解析を依頼しても、サイトの数字だけでは分からない情報があります。例えば、問い合わせが実際に受注につながったか、どのような依頼を増やしたいかは、自社の情報と合わせて考える必要があります。
相談前には、次の内容を整理しておくと話を進めやすくなります。
- サイトの目的:問い合わせ、購入、採用応募など、何を増やしたいか
- 困っていること:訪問が少ないのか、成果が少ないのか、判断できないのか
- 問い合わせ後の状況:商談や受注につながっているか
- 使える予算と人員:改善にどの程度取り組めるか
- 自社でできる作業:数字の確認、原稿作成、ページ修正など
外部に相談する範囲は、不足している部分に合わせて考えましょう。
| 自社の状況 | 相談を検討したい範囲 |
|---|---|
| 計測できているか分からない | 計測状況の確認・整備 |
| 数字は見られるが判断できない | 課題整理と優先順位づけ |
| 改善案はあるが実行できない | サイトの改修対応 |
| 変更の良し悪しが分からない | 実施後の確認と見直し |
最初から、すべてを継続して外注する必要はありません。現状確認だけ、改善案の整理だけなど、部分的な相談も選択肢になります。ただし、単発や部分的な依頼に対応しているかは要確認です。
毎月の数字の確認は自社に残したいという方は、短時間で取り組むためのアクセス解析チェックリストも参考にしてください。社内で続ける作業を整理したうえで、判断や実行に困る部分を外部に相談する形も考えられます。
7. まとめ:依頼先を探す前に、必要な支援範囲を整理しましょう
アクセス解析を制作会社に依頼するときは、まず次の順番で、自社がどこで困っているかを確認してください。
- 必要なデータを計測できているか
- 数字から課題を判断できるか
- 改善を実行できるか
- 変更後の結果を確認できるか
依頼先は、金額だけでなく、支援範囲と改善判断の進め方をセットで比較しましょう。レポートを受け取ること自体ではなく、問い合わせや受注など、事業の目的につながる判断に使えるかが大切です。
「数字は見られるけれど、次に何をすればよいか迷っている」という場合は、運用サポートへの相談も選択肢です。目的と困っていることを整理し、現状確認から必要なのか、改善提案や改修まで必要なのかを、運用サポートについて問い合わせる際に伝えてみてください。
自社で取り組む、一部だけ相談する、継続支援を検討する。必要な支援が分かれば、自社に合う頼み方を選びやすくなります。

