Googleアナリティクスを開いてみたものの、数字やレポートが多すぎて「結局、どこを見ればよいのか分からない」と感じたことはないでしょうか。
毎月レポートを受け取っていても、アクセス数が増えた、減ったという確認だけで終わり、ホームページの改善に活かせていないケースも少なくありません。
しかし、中小企業のホームページで毎月すべてのレポートを細かく調べる必要はありません。
実施したプロモーションやホームページの変更内容を確認し、Googleアナリティクス4(GA4)の「トラフィック獲得」と「ランディングページ」から変化を見ます。気になる数字が見つかった場合だけ、セカンダリディメンションや関連レポートを使って原因を掘り下げればよいのです。
この記事では、ラディカルサポートがホームページの状況を確認するときの考え方をもとに、月30分から始められるアクセス解析の手順を紹介します。
目的は、数字をたくさん確認することではありません。確認した事実から、次に行う改善を一つ決めることです。
アクセス解析の基本的な考え方から知りたい方は、「アクセス解析とは?中小企業のホームページ改善入門」をご覧ください。
月30分のアクセス解析は、すべての数字を見る作業ではない
GA4には、ユーザー数、セッション数、表示回数、エンゲージメント率、キーイベントなど、多くの数字が表示されます。レポートやデータ探索も数多く用意されています。
これらを最初から順番に見ていくと、確認だけで時間がかかります。さらに、数字の変化を見つけても、その変化が事業にとって重要なのか判断しにくくなります。
アクセス解析では、先に「何を確かめたいのか」を決めます。
例えば、Google広告を開始したなら、広告から訪れた人がどのページを見て、問い合わせにつながったかを確認します。新しいサービスページを公開したなら、そのページへどこから訪問し、その後どのように行動したかを見ます。
つまり、GA4のレポートを眺めて問題を探すのではなく、実施した施策を起点に、必要な数字を確認するのです。
月30分で行うアクセス解析は、サイト全体を詳細に診断するものではありません。変化や問題のありそうな場所を見つけ、次に詳しく確認すること、または改善することを一つ決めるための確認作業です。
アクセス解析を始める前に確認する3つのこと
GA4を開く前に、次の3点を整理します。
| 確認すること | 確認例 |
|---|---|
| 実施した施策や変更 | 広告開始、メルマガ配信、記事公開、サービスページ修正、求人募集開始 |
| 集めようとした相手 | 特定サービスの見込み客、特定地域の顧客候補、募集職種に合う求職者 |
| 増やしたい成果 | 問い合わせ、資料請求、電話、LINE登録、求人応募、予約 |
施策の目的が分からないまま数字を見ると、アクセスが増えたこと自体を成果と考えてしまいがちです。
ところが、採用したい人とは異なる求職者からの訪問が増えたり、対応できない地域からの問い合わせが増えたりしても、事業成果にはつながりません。
「何を行ったか」「誰に来てもらいたかったか」「何を増やしたかったか」を整理してから数字を確認することで、見るべき場所を絞りやすくなります。
特別な施策を実施していない月は、前月や前年同月などと比較し、大きく変化した流入元やランディングページを探します。
月30分で行うアクセス解析の手順
基本的な確認時間の配分は次のとおりです。

30分ですべての原因を特定できるとは限りません。大切なのは、気になる数字を一つ選び、次に何を確認または改善するかを決めることです。
アクセスが少ないホームページでは、1か月の数字だけで判断すると偶然の増減に左右されることがあります。その場合は3か月程度に期間を広げて確認します。
また、前月と比較する場合は日数や曜日構成をそろえ、繁忙期、休業日、広告出稿など、条件の違いも記録しておきましょう。
最初に「トラフィック獲得」で訪問経路を確認する
プロモーションや集客施策を実施している場合、最初に確認するのがGA4の「トラフィック獲得」レポートです。
トラフィック獲得では、今回の訪問がどこから始まったかをセッション単位で確認できます。新規ユーザーが最初にどこから来たかを見る「ユーザー獲得」とは役割が異なります。
毎月の施策確認では、「セッションの参照元/メディア」を中心に見ます。
- 参照元:訪問につながったサイトやサービスの名称
- メディア:自然検索、広告、外部サイト、メールなど、流入方法の種類
例えば、表示される値には次のようなものがあります。
| 参照元/メディアの例 | 考えられる主な流入 |
|---|---|
| google / organic | Googleの自然検索 |
| google / cpc | Google広告 |
| yahoo / organic | Yahoo!の自然検索 |
| ○○.com / referral | 外部サイトからのリンク |
| (direct) / (none) | URLの直接入力、ブックマーク、参照元を判定できない訪問など |
確認するのは、サイト全体のアクセス数だけではありません。
広告を開始したなら広告経由、メルマガを配信したならメール経由、SNSで告知したならSNS経由など、実施した施策に対応する参照元/メディアが増えているかを見ます。
さらに、セッション数だけでなく、エンゲージメント率やキーイベントも確認します。
訪問が増えていても、問い合わせや応募などのキーイベントが増えていなければ、次のような可能性があります。
- 狙った顧客候補とは異なる人が訪れている
- 広告や投稿で伝えた内容と、移動先ページの内容が合っていない
- ページ内に次の行動につながる案内がない
- 問い合わせなどの計測設定が正しくない
アクセスが増えたことだけで施策を評価せず、増えた訪問が目的とする成果につながったかまで確認します。
プロモーションには識別できるURLを使用する
メルマガ、SNS、QRコード、外部広告などの効果を確認するには、UTMパラメータなどを使って流入元を識別できる状態にしておく必要があります。
識別する設定がなければ、施策からの訪問が「Direct」などに含まれ、どの取り組みから生まれたアクセスなのか判断できない場合があります。
アクセス解析は、数字を見る段階だけでなく、施策を始める前の計測設計も重要です。
次に「ランディングページ」で最初に見たページを確認する
ランディングページとは、ユーザーがホームページを訪れたときに最初に見たページです。広告専用ページだけを指す言葉ではありません。
トップページ、サービスページ、ブログ記事、求人ページなど、検索結果や広告、SNSなどから最初に訪れたページは、すべてランディングページになります。
「ランディングページ」レポートでは、どのページが入口になっているか、入口ページごとにどのような行動や成果が発生したかを確認します。
プロモーションで誘導したページを確認する
広告やSNSなどで特定のページへ誘導した場合は、まずそのページを確認します。
- 想定どおり、そのページから訪問が始まっているか
- セッション数は増えているか
- エンゲージメントは発生しているか
- 問い合わせや応募などのキーイベントにつながっているか
- 施策開始前や前回施策と比べて変化しているか
広告のクリック数が増えていても、GA4で対象ページへの訪問が確認できない場合は、リンク先URL、リダイレクト、UTMパラメータ、Googleタグなどの設定も確認します。
ページの役割によって評価を変える
すべてのランディングページを同じ数字で評価することはできません。
| ページの種類 | 主な役割 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| ブログ記事 | 検索した疑問に答え、関連情報へ案内する | 検索ニーズへの回答、サービスページへの移動 |
| サービスページ | 依頼を検討するための判断材料を伝える | 料金、実績、対応範囲、事例、問い合わせへの移動 |
| 広告用ページ | 特定の提案を伝えて行動につなげる | 訴求内容と広告の一致、キーイベント |
| 求人ページ | 仕事内容や条件、会社の魅力を伝える | 募集内容の理解、応募への移動 |
ブログ記事は、そのページだけを読んで離れる人が多くても不自然ではありません。一方、サービスページが多く見られているのに問い合わせへほとんど進んでいないなら、判断材料や導線が不足している可能性があります。
数字の高低ではなく、そのページに期待する役割を果たしているかを確認します。
気になる箇所があったときだけ深掘りする
トラフィック獲得とランディングページを確認して気になる箇所があったら、そこで初めて詳しく調べます。
GA4の標準レポートでは、表の主な項目にセカンダリディメンションを追加することで、2つの切り口を組み合わせて確認できます。
例えば「ランディングページ」だけでは、どこから訪れた人なのか分かりません。セカンダリディメンションに「セッションの参照元/メディア」を追加すると、入口ページごとに自然検索、広告、SNSなどの違いを確認できます。
確認したいことに応じて、次のように使い分けます。
| 確認したいこと | 追加する切り口・確認先 |
|---|---|
| どの流入元から、どのページに訪れたか | セッションの参照元/メディア × ランディングページ |
| スマートフォンだけ数字が悪くないか | デバイスカテゴリ |
| 特定の広告や配信施策の結果を見たい | セッションのキャンペーン |
| 自然検索で使われた言葉を知りたい | Search Consoleの検索パフォーマンス |
| 入口ページの後に見たページを知りたい | GA4の経路データ探索 |
| 問い合わせフォームで止まっていないか | イベント、キーイベント、フォームの送信記録 |
標準レポートで希望する組み合わせを選べない場合は、別の標準レポートやデータ探索を使用します。
重要なのは、すべてのセカンダリディメンションを試すことではありません。「どこから来た人なのか」「スマートフォンだけの問題なのか」など、確かめたい疑問を決めてから追加することです。
「この数字なら、まず何を疑うか」の判断表
数字だけで原因を断定することはできません。ただし、どこを確認すべきか考える入口にはなります。

この表は、原因を自動的に判定するものではありません。考えられる原因を出し、実際のページや問い合わせ内容、営業記録などを確認するために使います。
直帰率が高いだけで、悪いページとは判断しない
直帰率は、ページを評価するときによく使われる数字です。しかし、直帰率が高いからといって、そのページが必ず悪いとは限りません。
GA4の直帰率は、エンゲージメントがなかったセッションの割合です。エンゲージメントセッションは、10秒以上継続した、キーイベントが発生した、2回以上のページビューまたはスクリーンビューが発生した、のいずれかを満たすセッションです。
例えば、営業時間や電話番号を調べた人が、必要な情報をすぐに確認して電話をかけた場合、ホームページ内で計測できる行動が少なくても、事業としては成果につながっている可能性があります。
一方で、直帰が多い場合には次のような問題も考えられます。
- 記事で情報を伝えただけで、サービスページなど次に見るべき情報を案内していない
- ユーザーの検索ニーズに十分に答えられていない
- 検索結果、広告、SNS投稿から期待した内容と、ページの内容が違う
- スマートフォンで読みにくい、表示が遅い、操作しにくい
- 問い合わせや応募へ進む方法が分かりにくい
「直帰率が○%を超えたら悪い」と一律に判断せず、同じ役割のページ、同じ流入元、過去の同じページなどと比較します。直帰率だけでなく、キーイベント、電話、問い合わせの実数なども合わせて確認してください。
問い合わせが増えたら、内容と成約まで確認する
ホームページ上で問い合わせや応募が発生すると、GA4では成果が出たように見えます。
しかし、会社にとっての最終成果は、問い合わせ数や応募数だけではありません。
BtoBの顧客獲得が目的なら、問い合わせ後の商談、見積、契約まで確認します。採用が目的なら、応募後の面接、内定、採用まで確認します。
| ホームページ上の数字 | 合わせて確認したい実数 |
|---|---|
| 問い合わせ数 | 有効な問い合わせ数、商談数、見積数、契約数 |
| 求人応募数 | 募集条件に合う応募数、面接数、内定数、採用数 |
| 予約・申込数 | 実際の来店数、キャンセル数、売上 |
問い合わせが増えても、対象外の地域、予算が大きく合わない相談、対応していない業務の問い合わせばかりでは、営業担当者の負担が増えてしまいます。
相性の悪い顧客からの問い合わせが増えた場合は、次の点を見直します。
- 集客に使っている広告、検索キーワード、発信内容
- ランディングページで呼びかけている対象者
- 対応地域、料金、対応範囲などの説明
- 問い合わせ前に確認してほしい条件
- 問い合わせ後の営業対応
アクセス解析では、数字を増やすことだけでなく、会社が求める顧客や人材につながっているかを見ることが重要です。
この点については「アクセス解析をホームページの成果につなげる方法|実務で分かった3つの落とし穴」でも詳しく解説しています。
確認したら、次の改善を一つ決める
月次確認の最後に、次に行う改善を一つ決めます。
複数の問題が見つかっても、一度に多くのページを変更すると、どの変更が数字に影響したのか分かりにくくなります。成果に近く、実施しやすいものから一つ選びます。
記録しておきたい項目は次のとおりです。
| 記録項目 | 記入例 |
|---|---|
| 確認した事実 | 自然検索から○○サービスページへの訪問はあるが、問い合わせが少ない |
| 考えられる原因 | 料金と対応範囲が分からず、依頼できるか判断しにくい |
| 次に行う改善 | 料金目安と対応範囲を追記する |
| 対象ページ | ○○サービスページ |
| 確認する数字 | 問い合わせページへの移動数、問い合わせ数 |
| 再確認する時期 | 変更から8週間後 |
結果が出なかった改善も、無駄になるとは限りません。考えた原因が違ったと判断し、次の仮説を立てるための材料になります。
数字から改善策を決める詳しい流れは「アクセス解析を改善につなげる方法|数字から改善策を決める5つの手順」をご覧ください。
月次アクセス解析チェックリスト
毎月の確認では、次の項目をチェックしてください。
- 今月実施した広告、情報発信、ページ変更を確認した
- 誰を集め、何を増やす施策だったか確認した
- 比較する期間と条件をそろえた
- トラフィック獲得で参照元/メディアを確認した
- 施策に関係する流入のセッション数とキーイベントを確認した
- ランディングページを確認した
- 気になる数字を一つ選んだ
- 必要なセカンダリディメンションや関連レポートで深掘りした
- GA4の数字と問い合わせ・応募などの実数を照合した
- 問い合わせ後の商談・契約、応募後の面接・採用を確認した
- 次に行う改善を一つ決めた
- 改善内容と再確認する時期を記録した
毎月まったく同じ数字を機械的に並べるのではなく、その月に実施した施策や見つかった変化に合わせて、確認する項目を絞ることが大切です。
自社だけで改善策を決めにくい場合
GA4の数字を確認するところまではできても、原因の仮説や具体的な改善策を決めることが難しい場合があります。
例えば、次のような状態では、アクセス解析、ページ制作、集客施策を分けずに確認する必要があります。
- 広告やSEOで訪問は増えているのに、問い合わせが増えない
- どのランディングページを優先して直すべきか分からない
- キーイベントと実際の問い合わせ件数が合わない
- 問い合わせは増えたが、商談や契約につながらない
- 制作会社からレポートは届くが、具体的な改善提案がない
ラディカルサポートの「ホームページ管理・運用サポート」では、アクセス数をまとめるだけでなく、実施した集客施策、参照元/メディア、ランディングページ、問い合わせ内容、商談・契約結果などを照らし合わせ、次に優先する改善をご提案しています。
必要に応じて、ページ内容や導線の修正、計測設定、SEO、広告運用まで一緒に対応できます。数字は見ているものの、どこを改善すればよいか判断できない場合は、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。
まとめ:毎月のアクセス解析では、次の改善を一つ決める
月30分でアクセス解析を行うときに、GA4のすべてのレポートを見る必要はありません。
基本的な流れは次のとおりです。
- 実施した施策と目的を確認する
- トラフィック獲得で参照元/メディアを見る
- ランディングページで入口ページを見る
- 気になる箇所だけ、セカンダリディメンションや関連レポートで深掘りする
- 問い合わせ・商談・契約などの実数と照合する
- 次に行う改善を一つ決めて記録する
アクセス数の増減を確認して終わるのではなく、なぜ変化したのか、会社が求める顧客や人材につながったのかまで確認します。
数字はホームページを評価するための成績表ではありません。次にどこを改善するかを決めるための材料です。
著者情報
皆川顕弘(みながわ たかひろ)
株式会社ラディカルサポート代表取締役。2005年にホームページ制作者として独立し、中小企業のホームページ制作、アクセス解析、Web集客、運用改善を支援。著書に『Googleアナリティクス アクセス解析完全ガイド』(2014年)、『スモールビジネスのための Googleアナリティクス完全ガイド』(2018年)などがある。

